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ダークモードは本当に目にやさしいのか

夜にスマホを見るときは黒い画面、という人は多いと思います。一方で、長い文章はダークモードだと逆に読みにくいという声もあります。ダークモードの良い点と苦手な点を、デザインする側の視点も交えて考えます。

ダークモードはすっかり定着した

iPhoneやAndroid、Windows、macOSが次々と本体の設定にダークモードを用意してから、黒っぽい画面はすっかりおなじみになりました。アプリやWebサイトも、端末の設定に合わせて自動で切り替わるものが増えています。

「目にやさしい」「バッテリーが長持ちする」とよく言われますが、実際のところはどうなのでしょうか。良い点と、意外と知られていない苦手な点を整理してみます。

まぶしさは確かに減る

暗い部屋で真っ白な画面を見ると、まぶしく感じます。ダークモードは画面から出る光の量そのものが少ないので、夜や暗い場所では、まぶしさが減って楽に感じる人が多いはずです。寝る前に少しだけスマホを見るときや、映画館のような暗い場所では、ダークモードの利点がはっきり出ます。

一方、明るい昼間の屋外では、画面に周りの景色が映り込みやすく、暗い画面はかえって見にくくなることがあります。周りの明るさによって、向き不向きが変わるわけです。

長い文章は、明るい背景のほうが読みやすいことも

意外かもしれませんが、文章の読みやすさについては、「明るい背景に暗い文字」のほうが有利だとする研究がいくつもあります。明るい画面では瞳孔が小さくなり、カメラの絞りを絞ったときのようにピントが合いやすくなるため、細かい文字が読みやすくなると考えられています。

また、乱視のある人は、暗い背景の明るい文字がにじんで見えることがあります(ハレーション)。文字の輪郭がぼやけて、長く読むと疲れやすくなります。乱視は珍しいものではないので、「ダークモードだと文章が読みにくい」と感じる人が一定数いるのは自然なことです。

つまり、ダークモードは「誰にとっても目にやさしい」わけではなく、環境や目の状態によって合う・合わないがある、というのが実際のところです。

目の疲れの本当の原因

画面を見ていて目が疲れる原因は、画面の色よりも、次のようなことのほうが大きいと言われています。

  • まばたきが減る:画面に集中すると、まばたきの回数が大きく減り、目が乾きます。
  • 近くを見続ける:ピントを合わせる筋肉が、ずっと緊張したままになります。
  • 画面と周りの明るさの差:暗い部屋で明るい画面を見る、明るい部屋で暗すぎる画面を見るなど、差が大きいと疲れやすくなります。

ダークモードにするかどうかより、画面の明るさを周りに合わせる(自動調整を使う)、時々遠くを見る、意識してまばたきをする、といったことのほうが、目の疲れには効果的です。症状が続く場合は、眼科で相談してください。

バッテリーへの効果は「画面の種類」で決まる

ダークモードでバッテリーが長持ちするかどうかは、画面の種類によって違います。

画面の種類仕組みダークモードの効果
有機EL(OLED)画素そのものが光る。黒い部分は光らないあり。黒い部分が多いほど電力が減る
液晶(LCD)裏から常にライト(バックライト)を当てているほとんどない

最近の多くのスマホは有機ELなので、ダークモードには省電力の効果があります。ただし、その効果は画面の明るさによって大きく変わります。画面を明るくして使うほど差が大きく、普段の室内くらいの明るさでは、1日の電池の持ちが劇的に変わるほどではない、という調査結果もあります。「少しは長持ちする」くらいに考えておくのがよさそうです。

作る側が気をつけていること

アプリやWebサイトを作る立場では、ダークモードは「色を反転すれば終わり」ではありません。

  • 真っ黒に真っ白を避ける:背景を完全な黒(#000000)、文字を完全な白にすると、コントラストが強すぎてまぶしく、にじみも目立ちます。背景はわずかに明るい濃いグレー、文字は少し落とした白にするのが一般的です。
  • 色の意味を保つ:明るい背景で見やすかった赤や青が、暗い背景では沈んだり、逆にギラついたりします。ダークモード用に、明るさや彩度を調整した色を別に用意します。
  • 画像や影:白い背景に合わせて作った画像やロゴは、暗い背景で浮いてしまうことがあります。影も、暗い背景ではほとんど見えなくなるので、境界線や明るさの差で区切りを表現します。
  • 利用者に選ばせる:端末の設定に合わせるのを基本にしつつ、アプリ内でも「ライト・ダーク・端末の設定に合わせる」を選べるようにしておくと親切です。

Webサイトでは、CSSの prefers-color-scheme を使うと、端末の設定に合わせて色を切り替えられます。文字と背景の色の組み合わせが読みやすいかどうかは、カラーコントラストチェッカーで、ライト・ダークそれぞれ確かめることができます。

結局どちらを使えばいいのか

おすすめは、「周りの明るさに合わせて自動で切り替える」設定です。iPhoneもAndroidも、時刻に合わせてライトとダークを自動で切り替える機能があります。昼間は明るい画面で文章を読みやすく、夜は暗い画面でまぶしさを抑える。両方の良いところを使えます。

そして何より、自分の目で「楽だ」と感じるほうを選ぶのがいちばんです。ダークモードが読みにくいと感じるなら、無理に使う必要はありません。逆に、ダークモードが快適なら、それがその人にとっての正解です。

まとめ

ダークモードは、暗い場所でのまぶしさを減らし、有機ELのスマホでは電池を少し節約できます。一方で、明るい場所や長い文章、乱視のある人にとっては、明るい背景のほうが読みやすいこともあります。目の疲れには、画面の色よりも明るさや休憩のほうが効きます。「目にやさしい」かどうかは人と場面しだい。自分に合った使い方を選べることこそが、ダークモードが広まったことのいちばんの価値なのかもしれません。