歩行スプライト生成を作った理由【1】欲しい歩行下絵が見つからなかった

ドット絵の歩行グラフィックを自作するとき、最初につまずいたのは「絵を描くこと」よりも、各コマの手足の位置を揃えることでした。 そこで、完成したドット絵を自動で作るのではなく、自分が描き始めやすい歩行下絵をまとめて生成するツールを作ることにしました。

公開状況:アプリ版は現在ストア審査・公開準備中です。公式紹介ページでは公開まで「近日公開予定」と表示しています。
歩行スプライト生成の画面。頭身、コマ数、向き、歩幅、カメラ角度を調整できる
実際のWeb版画面。左側でモデルや動きを調整し、中央で歩行プレビューとスプライトシートを確認します。

雛形はあっても、自分が欲しい動きとは少し違った

歩行グラフィック用の雛形や素材は数多く公開されています。ただ、実際に自分のキャラクターへ使おうとすると、 頭身、肩幅、脚の長さ、腕を振る角度、歩幅などがイメージと合わないことがありました。

2頭身のキャラクターを作りたいのに雛形が3頭身寄りだったり、かわいい見た目にしたいのに歩幅が大きすぎたり、 見下ろし型のゲームで使いたいのに正面寄りの角度しかなかったりします。少しの違いですが、全コマを直すとなると意外に時間がかかります。

文章だけでAIに頼んでも、自然な歩行になりにくかった

次に試したのが、生成AIへ「歩行するキャラクターのスプライトシートを作って」と文章で伝える方法でした。 しかし、コマごとに体格が変わる、手足の左右が入れ替わる、歩く方向やコマ数が途中で変わるなど、 そのままゲーム素材として扱うには調整が必要な結果になりがちでした。

AIが絵を描けないというより、文章だけでは「この位置に右足を置き、次のコマではここまで後ろへ動かす」という連続した設計を正確に渡しにくいのだと思います。 それなら、先に自分で動きの設計図を作り、その上から描けばよいのではないかと考えました。

完成品ではなく、「あたり」を一気に出すアプリにする

実際のプロのドット絵制作者が、どのような手順や雛形で歩行アニメーションを組み立てているかは分かりません。 ただ、自分が毎回悩んでいる部分は明確でした。頭身と手足の動きを決め、各コマの位置を揃えた下書きが先にあれば、描画へ入りやすくなります。

このアプリで解決したかったこと

  • 欲しい頭身に近いモデルから始める
  • 腕や脚の振り幅、体の上下動、見下ろし角度を自分で決める
  • 上下左右の歩行コマを同じ条件でまとめて生成する
  • 生成画像を薄い下絵として手打ちのドット絵へ利用する

こうして作り始めたのが「歩行スプライト生成」です。3Dの人型モデルへ歩行モーションを適用し、 低解像度でレンダリングした各コマをスプライトシートへ並べます。最終的なキャラクターを完成させるアプリではなく、 ドット絵を描く前の「あたり」を短時間で作るための道具です。

作り始めて分かったこと

最初は自分専用の補助ツールのつもりでしたが、頭身や動きを数値で変えられるようにすると、同じモデルでもかなり印象が変わりました。 また、下絵モード、アウトライン、ワイヤーフレーム、シルエットなどを切り替えることで、描き方に合わせて見やすい状態を選べます。

そして開発中、当初は想定していなかった使い方も見つかりました。生成したワイヤーフレームは手打ちの下絵として使えるだけでなく、 AIへ歩行姿勢を伝える参考画像としても役立ったのです。この話は第3回で詳しくまとめます。

欲しい雛形が見つからないなら、完成ドット絵を自動生成するのではなく、自分が描きやすい下書きを自動生成すればよい。 「歩行スプライト生成」は、その発想から始まった個人開発アプリです。